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相続人らが第2次遺産分割の合意(株主
名簿の名義書換えを含む。)及びこれに基づく更正の請求又は修正申告を
したのは,法定申告期限後,更正請求期間内であった。
(2) そこで,前提事実及び上記(1)の認定事実を踏まえ,本件における課税
負担の前提事項の錯誤が要素の錯誤に当たるか否か,その錯誤につき重大
な過失があったか否かについて,以下検討する。
ア前提事実及び上記(1)の認定事実によれば,第1次遺産分割の協議にお
いては,本件会社の株式の評価につき,配当還元方式によるか類似業種
比準方式によるかで合計約19億円の相違が生ずることとなることから
(別表3,別表3の2参照),配当還元方式の適用を受けられる株式の配
分方法を採ることを分割の方針として明示した上で,その方法について
本件税理士に相談し,同税理士から所轄税務署との相談も踏まえた検討
結果に基づく助言を受け,その助言に従い,配当還元方式の適用を受け
られる株式の配分方法との誤信の下に,第1次遺産分割の合意に至って
いるものと認められることからすれば,原告P3が遺産分割により取得
する株式について,配当還元方式による評価によることが,第1次遺産
分割に当たっての重要な動機として明示的に表示され,第1次遺産分割
の意思表示の内容となっていたものと認められ,かつ,その評価方法に
ついての動機の錯誤がなかったならば相続人らはその意思表示をしなか
ったであろうと認められるから,第1次遺産分割のうち株式の配分に係
る部分には要素の錯誤があったと認めるのが相当である。
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イ前提事実及び上記(1)の認定事実によれば,相続人らが本件会社の株式
の評価方法を誤信したのは,本件税理士が評価通達上控除を要する関連
会社の相互保有株式の存否の確認を怠って誤った助言をしたことに起因
するものであり,事柄の内容も税務の専門家でない相続人らにとって同
税理士の助言の誤りに直ちに気付くのが容易なものとはいえないと認め
られることからすれば,その誤信について,相続人らに過失があったこ
とは否めないものの,過失の程度は通常要求される義務を著しく欠いて
いるものとまでは認められず,相続人らに重大な過失があったというこ
とはできない。
ウしたがって,本件における遺産分割の私法上の効力については,第1
次遺産分割のうち,本件会社の株式の配分に係る部分は,要素の錯誤に
より無効であり,その余の部分は有効であって,当該株式の配分に係る
部分は,第2次遺産分割により補充されており,これらの遺産分割の効
力は相続開始時に遡及して生じている(民法909条)というべきであ
る(本件では,本件会社の株式以外の多数の不動産,他の有価証券,現
金・預貯金,動産,貸付金債権等の相続財産の配分について錯誤はなく,
前記認定の事実経過に徴すると,本件株式の配分に係る錯誤はそれ以外
の財産の配分に何ら影響を及ぼすものではないと認められる以上,合意
の内容としても対象財産の範囲で截然と区別し得る可分なものと評価で
きるので,当事者の合理的意思解釈及び法律関係の安定性の観点からも,
第1次遺産分割のうち,本件会社の株式の配分に係る部分のみが一部無
効となるものと解するのが相当である。)。